諦めたらそこで試合終了ですよ
先日、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観に行きました。
あの名作漫画、スラムダンクが映画になって復活!という話題は2年前から大きな反響を生んでいました。
タイトルの「諦めたらそこで試合終了ですよ」はスラムダンクの名言として有名です。
私は小学校から高校までの7年間、バスケットボールをしてきたこともあり、何度も何度も読み返してきた読者の1人で、
これは観に行くしかない!と意気込んでいた最中、妻も興味を持ってくれて、スラムダンクの原作漫画、全31巻を約1ヵ月で読破したことに、密かに驚きました。
そうして、スラムダンク歴20年の私とスラムダンク歴1ヵ月の妻がMOVIX倉敷に乗り込んだのでした。
結果的には、2人とも感動の涙、私に至っては肩を震わせながら泣いて、周囲の座席を振動させていました。
妻も大満足、漫画を読んで行ってよかったと言ってくれました。
あの感動と興奮から1ヵ月ほど経って、冷静になって何がそんなに自分の心に刺さったのだろうと考えてみたいと思います。
※ここから下はネタバレを含む可能性がありますので、まだ観に行っていない方はご注意ください。
この映画『THE FIRST SLAM DUNK』は、原作漫画の試合を元にしていて、試合の展開は知っています。
にもかかわらず、1プレイ毎に高揚し、涙を流したのは何故か―――――――。
それは、キャラクターの生い立ちを描き直したことが大きな要因だと考えています。
悲しい過去を背負って、それを乗り越えようと必死になって頑張る姿に、私は涙しました。
キャラクターの背景にあるストーリーを知っていることで、1つの重みが増すことになります。
似たような現象をサッカーW杯を観戦しているときにも感じました。
ドーハの悲劇があったからこそ、ドーハの歓喜に日本中が盛り上がりました。
それだけでなく、選手一人ひとりの個性豊かな発言にも注目が集まりましたよね。
その選手がピッチで活躍する姿に、私は心を打たれました。
どこかの別のチームの何も知らない選手が同じプレイをしたとしても、同じ興奮は得られなかったと思います。
年末の漫才の祭典、M-1グランプリでも似た現象があります。
1位~3位までの順位の予想を公式で募集しているのですが、そこに必ず「敗者復活枠」が入ってきます。
予想の段階では「敗者復活枠」はどのコンビか決まっていません。
それにもかかわらず、多くの人が「敗者復活枠」が3位以内に入るだろうと予想するのです。
これも敗北を経験したコンビを応援したいという視聴者の気持ちが含まれているのだと考えます。
古くから判官贔屓という言葉もあります。
判官贔屓(ほうがんびいき)とは、
「第一義には人々が源義経に対して抱く、客観的な視点を欠いた同情や哀惜の心情のことであり、
さらには弱い立場に置かれている者に対しては、あえて冷静に理非曲直を正そうとしないで、同情を寄せてしまう心理現象を指す。」
とWikipediaに書いてあります。
しかし、この感情を判官贔屓という4文字にあてがわれるのもしっくりこない気がします。
同情や哀惜だけでは説明できない種類の感情がそこにあると思いたいです。
とはいえ、うまく言語化できるほどの能力がなく、長々とこのような文章を書いているということになります。
どなたか的確な言葉を見つけたら、教えてください。
ブログとしては少し長くなってしまったので、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の感想に戻って、締めくくろうと思います。
主人公の所属するチーム、湘北高校のメンバーの一人、宮城リョータは身長の低い選手です。
ご存知の通り、バスケットボールは身長の高さが大きく左右するスポーツです。
しかし、彼は自分より30cmも背が高い相手に果敢に向かっていき、倒されても倒されても立ち上がり挑んでいきます。
コロナ禍、どうすることもできないパンデミックという大きな壁にぶち当たった私達は、その姿に強く励まされました。
「諦めたらそこで試合終了ですよ」
その台詞が今もなお、心の中で響きます。
私はこれまで漫画を始めとして、アニメ、映画、小説、ドラマなど様々な物語に触れてきました。
物語を観たり、読んだりすることで、空腹が満たされることはありません。
しかし、物語は日々の暮らしに潤いを与えてくれます。
ちょっとした瞬間に思い出してくすっと笑ったり、今回の『THE FIRST SLAM DUNK』のように勇気や感動を与えてくれたりと効能は様々です。
思い返せば、今年もいろんな作品に触れてきました。
来年もまたたくさんの作品と出会うだろうと思うと、ワクワクしてきます。
皆さんも好きな作品があったら、教えてください。
あと、『THE FIRST SLAM DUNK』、12月26日現在は絶賛公開中です。
この記事を読んで、観に行きたいなと思ったあなた。
年末年始のバタバタの合間に、観に行ってみてはいかがでしょうか。
きっと心に残る作品になるはずです。
Y.S