さいとうさん
ランチタイム 移動は自転車
道中利用する押しボタン式の横断歩道
少々待ち時間が長い信号であるが
向こう岸にも同じように信号を待つ人チラホラ
※今日は雨が降っていました。
その中にいる高い確率で出会うご婦人
年のころ60代 そしてまた彼女も自転車
もちろん会話などすることなく
挨拶したり目を合わせることもない
お互いがただすれ違うだけの通行人Aである
しかしながら
さほど人の往来があるわけでもないその横断歩道で
行きばかりでなく帰りも同じ赤信号を待つこともしばしば
恐らくあちらも私の存在は知っているだろう
断っておくが興味があるわけではない 気にもならない
ただ同じタイミングで待つことがあるだけ
だけどいつも同じ時間 同じ場所ですれ違うこの人を
ただの通行人Aで終わらせるのは いささか寂しいではないか
そこで私は彼女を「斉藤さん」と呼ぶことにした
斉藤さんがボタンを押していてくれれば
「サンキュー斉藤さん!」
信号が変わってしまったあと斉藤さん到着
「ちょっと遅かったかあ…」
もちろん口に出すことなんてない
挨拶もしなければ目も合わさない
別になんてことはない
ただ よくすれ違う通行人のお話です
おしまい
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