鎌男(かまおとこ)
毎日渡る押しボタン式の横断歩道にてある日のこと。
既にボタンが押されていた状態のところ私到着。
あちら岸で待つ3人のうちの誰かが押したのだろう。
何気に待っていたらどこかから聞こえる。
カンカン! カンカーン!
金属音?
キョロキョロ周りを伺うとまたもや
カンカンカーン!
発信元は向こう岸の農作業着の男性。年のころ60代後半。
どうやら私を呼んでいるようだ。
こちらが視線を向けるとあちら側からこう言った
「押せ!ボタン押せ!」
???
何を言っているのかわかんない。
おっちゃん続けて言う。
「こっちでボタン押しとるけー、
そっちもボタン押したら早よー(信号が)変わろーが!」
んんん~~!? 都市伝説??
思いたい気持ちはわからなくもないがそんなのウソっしょ?
「ほんとに~ぃ??」
疑ったように言葉を返しながらよく見ると
そのおっさん、なんと手に鎌を持ってるではないかっ!!
農作業用のものか
鎌を信号のポールにぶつけて金属音を発していたのだ。
言ってることがわかんない。何をしでかすかもわからない。
モタモタしてると鋭利な金属刃のえじきにもなりかねない!
いたくビビった私は
急いでボタンを押そうとしたまさにその瞬間。
信号が変わりました。
結果、何もなかったけど。
すれ違うときの恐怖といったらなかったよ。
おしまい
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