特別な春
6歳の長男は
発達障害を背負っている
いわゆる「広汎性発達障害」だ
発達障害は個人個人で
様々な特性が見受けられる
長男の場合は
話しかけられても気づかない
人の話がちゃんと理解できない
「言葉」を操るのがヘタクソで
自分の気持ちを表現するのも
言いたいことを伝えるのも
思い通りにいかなくて
保育園ではいつも一人ぼっちだった
誰にも相手にしてもらえないと
うすうす感じているのか
自分から輪の中に入っていくことは
めったにない
唯一心を許せるのは
お兄ちゃんが大好きな
4歳の弟だけだ
ある日近所の子どもたちが
大勢集まってワイワイ遊んでいた
長男は
一人で黙々と自転車をこいで
家の周りをぐるぐる回っていた
見かねた僕は
長男を誘って
二人でサッカーをした
蹴っては返し
蹴っては返し
ずっとパスをして遊んだ
「なあ、サッカー好きか?」
「うん!パパとするのは好き!」
オッケー
大丈夫
絶対に一人ぼっちにはさせないよ
パパが
世界で一番楽しい友達になってあげるから
小学校入学にあたり
特別支援学級に入れることにした
さんざん悩んだ末の
後悔のない決断だ
たとえ一人ぼっちでも
長男は保育園に行くのを
一度も嫌がったことがなかった
小学校に行くのも
楽しみでしょうがないらしい
そんな様子を見ていると
こっちまで楽しみでしょうがない
今年の春は
今までにない特別な春になりそうだ
K・K